知っていましたか?

初乳には下剤の効果があります

初乳には下剤に似た作用があり、赤ちゃんが胎便と呼ばれる最初のうんちを出すのを助けます。⁴⁰ 胎便は羊水や粘液など、子宮内で赤ちゃんが摂取していたものでできているため、黒色で粘性があります。なので、びっくりしないでくださいね。しかし、赤ちゃんのうんちは数日間で緑色、黄色と変わり、その後のおむつはずっと扱いやすくなります。また、ラッキーなことに、粉ミルクのうんちよりも甘い匂いがします。

母乳:栄養を超えて

乳房が分泌する初期の母乳は、少なくとも1週間後に赤ちゃんが必要とするものとは非常に異なります。


初乳は濃厚な黄色がかった液体で、栄養素を豊富に含み非常に消化しやすいものです。しかし、単なる食べ物ではありません。事実、初乳の重要性は赤ちゃんに栄養を与えるという点よりも、赤ちゃんを守るという点にあると考える人もいます。初乳には以下のものが含まれています。


  • 感染症と闘い、赤ちゃんの自然免疫を活性化させる白血球。生まれたばかりの赤ちゃんは、お母さまのお腹の外に出てからも守られる必要があるため、実際に初乳に含まれる細胞の70パーセントを白血球が占めています。⁴¹

  • 抗体、細菌やウイルスから赤ちゃんを守ります。そのひとつであるsIgAは、感染症や疾患にかかりやすい未熟で浸透性の高い腸をコーティングします。これはお腹の調子が悪くなったり、下痢になったりするリスクを低減し、有害物質が血流に侵入することを阻止します。⁴²


  • 赤ちゃんの成長と発達を促す成長因子とホルモン。⁴³


  • マグネシウムのようなミネラル、骨の強さと心臓のリズムの一定性を維持します。また亜鉛は赤ちゃんの脳を発達させ、免疫系をサポートします。⁴⁴


ですから、量は多くはありませんが、乳房が作るタンパク質が詰まっている少量の初乳こそ、新生児が必要としているものです。


生まれたばかりの赤ちゃんは、栄養と水分補給のために必要な十分な量の母乳を飲まないこともあります。赤ちゃんが十分に飲めているかどうかを見分ける最適な方法は、おむつを見ることです。一般的な新生児は生まれたばかりの頃は、1日1回おしっこをします。出産当日を含め3日目頃に1日に3回おむつを濡らすようになります。出産当日を含め5日目から、1日に5回以上おむつが濡れて重たくなり、少なくとも2回はうんちが出ます。遅くとも出産当日を含め4日目の終わりまでに、うんちは胎便や緑色からゆるい黄色に変化します。⁴⁵ もし赤ちゃんがこのパターンどおりではない場合は、すぐに医療機関を受診してください。


赤ちゃんが授乳後にミルク色のものを吐いても驚かないでください。これは想定範囲内のことです。しかし、吐いたものにオレンジ色、赤色、緑色、茶色、黒色が混じっている、または噴射するように吐き出した、高熱がある、うんちに血が混じっている、大泉門(頭の柔らかい部分)がへこんでいる、または2週目までに出生時体重に戻らないなどの場合は、医療機関を受診してください。⁴⁶

生まれたばかりの赤ちゃんの胃はサクランボほどの大きさしかありません。比較すると、大人の胃はグレープフルーツほどの大きさがあります。

母乳の謎

初乳には亜鉛(赤ちゃんの成長、脳の発達、免疫系のサポートに必要)や銅(成長と心臓や脳などの多くの臓器の維持に必要)などの微量元素のミネラルが含まれています。ある研究では、初乳に含まれる亜鉛のレベルは成乳の4倍前後の濃度でした。⁴⁷ 科学者たちはまだ、これがどのように起こるのか、なぜ起こるかということを解明できていませんが、母乳がいかにダイナミックであるかということを示す驚くべき例のひとつです。母乳は常に変化しているのです。