素晴らしい母乳
妊娠した瞬間から、お母さまの身体は新しい命を育み始めます。そして1か月以内に、赤ちゃんへ栄養を届けるための新たな仕組みが発達し始めます。 スクロールしてもっと読む
母乳には赤ちゃんに必要な適切なバランスのタンパク質、ミネラル、ビタミン、脂肪が含まれています。さらに、感染症と闘い、赤ちゃんの脳の発達を促し、赤ちゃんとお母さまの将来の健康の基礎を作る数千もの保護物質、成長因子および細胞で満たされています。
母乳は新生児期から幼児期への各発達段階で赤ちゃんに合わせて作られ、日々のニーズに合わせて成分が変化していきます。
実は、母乳の素晴らしい性質については、すべてが解明されているわけではないのです。研究者たちは母乳について日々研究し、新たな発見をしています。すべての成分を解明するために必要な調査方法や分析方法を考案することに余念がありません。¹
例えば、知っていますか?
- 母乳は単なる栄養ではありません。産後数週間は、か弱い新生児を守り、消化器系および免疫系を発達させ始めます。
- 私たちは今も、将来の肥満から赤ちゃんを守ると思われる、母乳に含まれる新しいホルモンを発見しているところです。
- 母乳には幹細胞など多くの種類の生細胞が含まれており、これらは様々な種類の細胞に発達するという注目すべき能力を持っています。
- お母さまか赤ちゃんのどちらかが病気になると、お母さまの身体は抗体と白血球がより多く含む母乳を作り、感染症と戦えるよう手助けします。
- 母乳育児をすると、お母さまと赤ちゃんの両方が2型糖尿病を発症しにくくなります。
- 研究では、母乳で育った子どもは学校の成績が良いことが示されています。
母乳は本当に日々素晴らしい働きをしてくれています。
しかし母乳や母乳育児について、時代遅れな見解や情報がまだたくさん存在します。このebookでは、根拠に基づく母乳のメリットについてお伝えしていきます。母乳に関するガイドブックとして、皆様の知識を深めていただく一助になれば幸いです。参照している研究についてリンクまたは脚注を付けていますので、内容が信頼できるものであることをご理解いただけると思います。また詳細をご確認いただくこともできます。
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知っていましたか?
母乳は長期的な健康を増進します
赤ちゃんの人生の最初の1,000日(受精してから2才のお誕生日を迎える頃)のうちに、赤ちゃんの将来の健康と健やかな生活の礎を作ってあげることができます。²
国際的な保健機関は、ちょうどこの期間に栄養を摂取することで、赤ちゃんの脳の発達を促し、成長を促進し、学業の可能性を高め、1型・2型糖尿病および肥満などの発症リスクを低減できるということを認めています。³ ⁴
こんな話を聞くと、少し気が遠くなったり、ちょっと怖い感じもあるかも知れません。でも、母乳育児のストーリーはお母さま一人ひとり違います。ほんの少量の母乳であっても、かけがえのないプレゼントを赤ちゃんに届けられる、ということを覚えておいてください。
また、母乳育児のためにライフスタイルを完璧にする必要はありません。事実、世界中の研究では、お母さまが栄養失調であっても、粉ミルクと比較すると、⁵ 母乳育児はお母さま自身と赤ちゃんの健康に、より良い効果があることが示されています。⁶
長期的なメリットについての詳細は第6章をご参照ください。