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産後1か月~6か月: 成乳

継続していきましょう!

この時期は、浮き沈みの激しかった最初の数週間を過ぎ、母乳育児が本格的に確立するときです。スクロールしてもっと読む

ここで母乳は完全に成乳となります。お母さまはうまく母乳育児を続けて母乳量を維持していく時期です。また、赤ちゃんがこの最初の6か月で必要としているものは母乳だけです。


「前乳」や「後乳」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、母乳があるタイプから他のタイプに変化する明確なポイントがあるわけではなく、成分は授乳とともに徐々に変化します。¹³⁰


母乳を見てみると、授乳を始めるときの前乳は後乳よりも薄いか、水っぽく見えることに気づくかもしれませんが、これは母乳の質が低いのではなく、実際はタンパク質、糖類、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。授乳をしていくにつれて、母乳中の脂肪とカロリーが徐々に増加します。また、授乳のたびに母乳に含まれる脂肪量は変動しますが、全体として赤ちゃんは毎日同じ位の量を摂取します。¹³¹


前章でお見せしたように、たった1 mlの母乳に幹細胞、「良い」細菌、免疫細胞など数百万の細胞が含まれています。また、この時期の成分は極めて一貫していますが、一方で母乳は赤ちゃんの器官に対する脅威に反応して調整されます。これは科学者たちが理解し始めたばかりのプロセスです。


つまり、赤ちゃん(またはお母さま)が細菌またはウイルスに感染すると、お母さまの身体はこの感染と闘うために抗体を作り、これが母乳の一部になります。科学者たちは、お母さままたは赤ちゃんの具合が悪いと、初乳に高いレベルで含まれていた免疫を高める生細胞である白血球のレベルが再び上昇することも発見しています。¹³²


赤ちゃんが健康で成長曲線に達している場合は、母乳量が十分かどうかを心配する必要はありません。おそらく最初の大変な数週間よりも乳房の張りや漏れが減っていると感じることになりますが、これは、母乳の分泌を完全に習得してきており、赤ちゃんが必要とする適切な量を作っているためです。¹³³ 事実、授乳をどれだけ長い間続けていても、乳房は調整を続け、母乳をより効率的につくり、溜めて、出せるようになります。¹³⁴

知っていましたか?

母乳育児の赤ちゃんに水は不要です

母乳育児をしている赤ちゃんが6か月未満の場合は、猛暑であっても、水を与える必要はありません。世界の暑く乾燥している場所における研究で、完全母乳の赤ちゃんは必要な水分をすべて母乳から摂取していることが分かっています。気温が高いときは、お母さま自身が十分に水分を摂取することが必要です。赤ちゃんも普段よりのどが渇きやすくなるため、飲みたがるときに飲ませましょう。¹³⁵

6か月間完全母乳の赤ちゃんは、生後2年間で耳の感染症を発症する確率が約43パーセント減少します。¹³⁶