早産児にとっての初乳: 一番の良薬

早産だった場合、初乳は特にタンパク質、保護物質および成長因子を多く含み、ホルモン、脂肪およびミネラルのバランスも正期産の母乳とは異なっています。⁷⁹ そのため、この初乳を赤ちゃんをあげることで、赤ちゃんは可能な限りベストな人生のスタートを切ることができます。⁸⁰


早産児に母乳を与えることで、壊死性腸炎(NEC)と呼ばれる深刻な状態になるリスクも大幅に低減します。⁸¹ この病気は、主に早産児に見られ、腸組織の炎症と損傷を引き起こします。深刻な場合は、命に関わることもあります。ある研究において、母乳育児の赤ちゃんの方が完全粉ミルクの赤ちゃんよりもNECの確率が6~10倍低いことが示されているという良いニュースもあります。⁸²


早産の赤ちゃんに母乳を与えることは、赤ちゃんの吸てつ反射が未熟であり、また赤ちゃんが新生児集中治療室(NICU)で過ごす必要があるため、一層困難な場合があります。しかし、NICUの医療従事者のサポートと共に、乳房から直接、またはシリンジ、カップ、または哺乳びんにさく乳するなど、母乳を小さな赤ちゃんに与える方法はまだまだたくさんあります。


さく乳する必要がある場合は、できればダブルポンプを使用し、2~3時間おきに、赤ちゃんに与えるのと大体同じ頻度でさく乳してください。


両方の乳房から同時にさく乳するとさく乳時間が半減するだけでなく、片方ずつ交互にさく乳するよりも平均して18パーセント以上多くの母乳を出すことができ、カロリー含有量も高くなります。⁸³

母乳の謎

母乳に含まれる数百ものオリゴ糖の一部が「役立つ」細菌を与え、「悪い」細菌を阻止するということは分かっていますが、その他のオリゴ糖の目的は何でしょうか?


部分は今も分かっていません。しかし、このような複合糖類が何らかの方法で赤ちゃんにとって良い影響を与えているということは極めて明確です。⁸⁴

迷信?本当?

「帝王切開後は授乳できない」

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迷信です。帝王切開をした女性は経膣分娩をした女性よりも母乳量が少ないことがあります。しかし、出産後すぐに授乳を始めて、できる限り頻繁にあげていれば、母乳量を増やすことができ、経腟分娩の場合の母乳分泌量に6日で追いつくことができます。⁸⁵

リマインダー

育児本では違う方法が提案されているかもしれませんが、授乳をルーティンに当てはめる必要はありません。世界保健機関とユニセフは、日中も夜間も赤ちゃんが欲しがるときに授乳することを推奨しています。⁸⁶ ある研究では、スケジュールどおりに授乳していた母親は、早く授乳をやめる傾向がでています。⁸⁷



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