赤ちゃんの脳の構築

ヒトの脳は他の動物よりもはるかに複雑で、生まれた後に急速に発達する必要があります(参照:第1章)。


赤ちゃんの脳の質量は最初の6か月でほぼ2倍になり、2歳になるまでに成人の80パーセントの大きさになります。¹⁷⁷


ヒトの脳は60パーセントが脂肪であるため、¹⁷⁸ 母乳に含まれる多くの脂肪酸が赤ちゃんの脳の発達を担うことは道理にかなっています。


母乳は他にも赤ちゃんの脳にとってメリットがあります。白質は脳の領域を繋げ、互いに信号を伝えあうのを助けます。研究では、完全母乳の赤ちゃんは粉ミルクの赤ちゃんよりも白質が20~30パーセント多いことが示されています。また、この追加の白質は言語、論理的思考、感情、社会性、運転技能をつかさどる部分に集中しています。¹⁷⁹


おそらくこれは、世界中の研究で、社会経済因子を考慮に入れても完全母乳の赤ちゃんの方が粉ミルクの赤ちゃんよりもIQが高く、学校の成績もよい傾向があるということが発見されている理由です。¹⁸⁰


イギリスでは、6か月以上授乳した子どもの方が16歳の時の試験結果が良く、¹⁸¹ 一方ブラジルでは、少なくとも12か月間授乳していた赤ちゃんは30歳の時点でより高額所得者である傾向がありました。¹⁸²

知っていましたか?

母乳育児はエコです。

母乳育児は次のような理由から粉ミルクよりも環境に優しいです。


  • 梱包が不要 – アメリカだけで毎年5億5,000万個の粉ミルク容器が使用されています¹⁸³


  • 工場生産が不要

  • 加工段階で工場の排出ガスや化石燃料が不要

  • 輸送燃料や排出ガスが不要

  • 水の使用量が少ない

迷信?本当?

「6か月を過ぎた授乳は、発展途上国の赤ちゃんのためだけである」

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迷信です。授乳を延長することで、水が汚染されて食料が乏しい地域においては赤ちゃんを疾患から守り、赤ちゃんに特別な栄養を与えますが、これはほんの一部にすぎません。


母乳には素晴らしい長期的なメリット(本章の前半参照)があります。世界保健機関が最大2年間またはそれ以上、補完食と共に授乳することを推奨し、それが世界各国の子どもを対象としている理由はまさしくこのメリットのためです。¹⁸⁴