母乳量を増やすには
母乳を出すための複雑な連鎖反応は、乳房、赤ちゃん、またはお母さま自身の気持ちを刺激することによって促されます。医療従事者は以下のように推奨します:
- リラックスできる方法を試して、不安を取り除いてください。不安は母乳分泌に影響します。¹¹⁰
- 授乳姿勢や赤ちゃんのくわえさせ方を変えて、乳首への刺激の方法を改善してみてください。¹¹¹
- オキシトシンが分泌されるように、授乳前または授乳中の肌と肌の触れ合いを増やしてください。¹¹²
- もっと頻繁に授乳やさく乳をしてください。24時間あたり少なくとも8~12回行い、3時間以上間隔をあけないでください。¹¹³
- 赤ちゃんが飲む量は平均して乳房の中の母乳の2/3程度です。授乳の後にさく乳をして、¹¹⁴ 残った母乳を出すことにより、分泌量を増やすことができます。授乳後、1時間待つとまた母乳が作られ始め、少し休憩した後で反応もよくなり、より多くさく乳できるかもしれません。¹¹⁵
- 両方の乳房に同時にダブルポンプを使用してください。¹¹⁶ そうすることで、お母さまの身体は乳房を満たそうと働き、もっと多くの母乳を作ることに慣れていきます。
- 母乳が乳管を流れるのを促すために、授乳またはさく乳と同時に乳房をマッサージしてください。¹¹⁷
- さく乳口(さく乳器セットの乳房を覆うじょうご部分またはカップ部分)が正しいサイズであることを確認してください。乳管を締め付ける可能性があるため、乳房を強く押しすぎないもの、乳首がトンネルの内側で擦れないものを選んでください。正しいさく乳口サイズの選び方はこちらをご覧ください。
- 催乳薬と言われる、母乳量の増加を促進できる処方薬を飲んでください。¹¹⁸ しかし、すべての薬物療法があらゆる状況に効果を発揮するわけではないため、必ず医療機関にご相談ください。
母乳育児と肥満との闘い
母乳育児の赤ちゃんは、子供時代もしくはティーンエイジャーの頃に体重超過または肥満になる傾向が13パーセント低下します。¹²¹ 科学者たちはその理由のひとつとして、母乳には赤ちゃんの体重増加を順調に維持することを助けるホルモンが含まれていることを挙げています。このようなホルモンにはレプチンとグレリンが含まれ、食欲のコントロールを助けます。母乳には最近特定された2つのホルモン、オベスタチンとレジスチンが含まれています。食べ物の摂取量のコントロールに役立つだけではなく、いずれも身体がインスリンを分泌したり、インスリンを処理したりする過程に関与しています。¹²²
このような有用なホルモンに加えて、たとえ母乳がまだ出たとしても、赤ちゃんは満腹になると飲むのをやめます。事実、39パーセントの赤ちゃんは実際に、射乳反射の間(母乳が勢いよく流れているとき)に授乳を終えます。¹²³ 対照的に、粉ミルクの赤ちゃんは哺乳びんのミルクを飲み切るよう促される傾向があります。